かながわ歴史教育を考える市民の会
 
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 No.52  2013年8月24日


■第17回総会のご案内


 連日、大変な猛暑が続いておりますが、会員の皆様お元気ですか。
一年は早いもので、定期総会の開催が間近になってまいりました。過去の歴史から学ぶことを拒絶し、歴史の歪曲・修正を意図した偏狭なナショナリズムがこの国を包み込む状況が進行しています。
第17回総会は、今日のこうした危機的な状況と向き合い、国際的にも批判が高まっている、この国の歴史修正主義の流れを阻止し、平和と民主主義さらに思想・信条の自由を守り抜くために県民・市民が引き続きどう声をあげ、どう行動し続けていくか、を確認し、また一人でも多くこの会への参加をはかるのか、などについて協議いたしたい、と考えております。
会員の皆様をはじめ、歴史の教訓に学ぶ歴史教育の必要性を感じている皆様の第17回総会への出席をお願いします。

日 時 9月13日(金)18:00開場 18:15開会
場 所 かながわ労働プラザ 3F多目的ホール

なお、総会終了後に引き続き、関東学院大・林 博史教授を講師に「9・18柳条湖事件記念講演」として「戦犯裁判から日本とアジアの平和を考える」をテーマの講演を行います(資料代500円)。合わせて参加をお願いします。

■4月19日に横浜市教委へ
教科書採択地区細分化署名62,398筆を提出

神奈川の教科書・採択問題にとりくむ会は、2014年には小学校の、15年には中学校の教科書採択がそれぞれ行われることから、教科書の採択地区を2001年〜2009年までと同様に教職員の意見が反映され、かつ行政区(18区)毎の採択に戻すよう求める横浜市民を中心とした署名62,398筆を横浜市教委に提出しました。
教科書採択地区問題は、2009年6月に横浜市教委がそれまでの18採択地区から1採択地区への変更を県教委に要望することを決定。8月には自由社版歴史教科書を8地区において採択。10月には県教委が1採択地区変更要望を受け入れた、という経過があります。

中学校副読本「わかるヨコハマ」の改定(回収)問題で
浜市教委に昨年11月と本年6月に要請書を提出

                                     2012年11月21日
横浜市教育委員会 教育長 山田 巧 様
                                かながわ歴史教育を考える市民の会
                                共同代表 高嶋伸欣
                                     宇野峰雪
                                     江原由美子
                                    (磯子区森3-3-17-217)

                      要 請 書                   
 私達、かながわ歴史教育を考える市民の会は、歴史の事実を直視し、その事実を子ども達に正しく伝えるべきと、過去17年以上に亘って横浜の地で県内の教育の現状について、情報交換し、時には議会請願・陳情や教育委員会への陳情・請願・要請などを行い、歴史の事実が歪曲されないよう働きかけてきました。
 さて、この間、貴教育委員会発行の副読本「わかるヨコハマ」の関東大震災の記述について、7月19日の市会こども青少年・教育委員会において貴職は、「表現、文脈、構成などに誤解を招く部分があった」と答弁され、今年度版を回収し改訂版をつくる、「虐殺」の語句を「殺害」に置き換えると表明されました。また、迫害と虐殺に対する軍隊、警察の関与の記述を問題とされています。
 しかし、関東大震災の朝鮮人等の迫害と虐殺に軍隊、警察が関与したことはすでに立証されている歴史事実であり、また、発生した殺害事件の多くは「虐殺」という表現が妥当するものです。したがって、今年度版の回収、記述を改訂の必要はありません。改訂されないことを要請します。
 1999年12月10日付で日本弁護士連合会に1通の「人権救済の申し立て書」が提出されました。申立人は横浜市在住の文 戌仙(ムン・ムソン)さん(当時91歳)で在日朝鮮人女性です。この申立書の詳細は省きますが、申し立てを受けた日本弁護士連合会では2003年7月にA4版で25ページにもおよぶ報告書を提出し、内閣総理大臣小泉純一郎殿宛てに「勧告書」をも出すに至っています。
 勧告の趣旨は、
1 国は関東大震災直後の朝鮮人・中国人に対する虐殺事件に関し、軍隊による虐殺の被害者、遺族、および虚偽事実の伝達など国の行為に誘発された自警団による虐殺の被害者、遺族に対し、その責任を認めて謝罪すべきである。
2 国は、朝鮮人、中国人虐殺の全貌と真相を調査し、その原因を明らかにすべきである。
としています。
 日本弁護士連合会が、学者の意見を聞き、当時の裁判記録などを詳細に検討した結果で、報告書や勧告が出されているのですが、ここでも「虐殺」と明確に記しています。
関東大震災89年目の9月1日を迎えました。90周年を目前に以下の要請を行います。

1 副読本「わかるヨコハマ」の記述=関東大震災時の朝鮮人虐殺が事実であった事を認め、記述の変更をしないように求めます。                         以 上

<平成25年2月22日付け、横浜市教委からの回答>
「わかるヨコハマ」は中学生が郷土横浜の歴史・自然・社会などについて学ぶための副読本です。
各市立学校では、本市が採択した教科書を中心に授業を行う中で、横浜について学ぶ際の補助的資料として活用しています。この副読本は、毎年見直しをして、必要が生じた場合に改定をしています。今年度版の関東大震災の記述については、結果として、表現や文脈,構成に誤解を招くような内容となっておりましたので、内容を精査しています。また,関東大震災における「虐殺」という表現については、学習する中学生の発達段階を考慮する必要があると考えます。
 今後とも、教育基本法で示されている「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」などを大切にし、関東大震災を含めた歴史教育や防災教育などについて学習指導要領に基づいた教育を進めてまいります。

 

2013年6月17日

横浜市教育委員会 教育長 岡田 優子 様

中学校副読本「わかるヨコハマ」の改定・回収に抗議する(声明)

 貴教育委員会は、5月8日に各学校長宛に「副読本『わかるヨコハマ』配布及び回収について(依頼)」を通知し、「2012年度版」の回収と改訂版(2013年度版)の配布を進めています。
 「2012年度版」は、関東大震災時の朝鮮人等への迫害と虐殺について、歴史学研究の成果を正しく反映した記述です。貴教育委員会自身が、「記述は間違っていない」と述べている以上、今回の「2012年度版」回収は前年の教育長の誤った議会答弁の履行という以外に積極的な理由を見出すことはできません。副読本の改訂は今まで幾度も行われて来ました。しかし、回収は今回が初めてであり、前代未聞のことです。貴教育委員会の「中学2年生の皆さんへ」という通知文は、回収の理由について「大きな改定を行いましたので回収させていただきます」と述べていますが、これでは、なぜ「2012年度版」だけが回収されなければならないのかを生徒や保護者が理解することはできません。
学校現場と生徒及びその家庭にまで混乱をもたらす今回の回収作業は直ちに中止すべきです。
 今回の改訂(2013年度版)は、虐殺の主体から「軍隊、警察」を削除しました。虐殺はヨコハマにおいても自警団によってだけでなく、軍隊、警察によっても行われたことは、公的史料からも明らかな歴史事実です。副読本もまた1990年版以来、この歴史事実を踏まえた記述がなされてきました。今回の改訂は、この歴史事実を無視した、この歴史事実を忘却させる、誤った記述です。また、「虐殺」を「殺害」へ改訂したことは、殺害の実相がいかなるものであったのかを問わず、歴史の事実に目をふさぐものです。
 さらに、虐殺された朝鮮人への追悼と反省を示す「殉難朝鮮人慰霊之碑」の写真が削除されました。この碑は、歴史のもたらした犠牲者を追悼し、過去を直視し、正しく後世に伝えるために横浜市民が建てたものです。副読本は、1990年版以来、この写真を掲載してきました。2013年は関東大震災90年にあたります。その年に、この写真までも削除したことは、あまりにも行き過ぎた改定行為と言わざるを得ません。
 私たちは、このような「2013年度改訂」を断じて認めることはできません。
 貴教育委員会に今、必要なことは、歴史の事実に真摯に向き合う姿勢が大事であることを子ども達にきちんと示すことです。そして、特定の主張に組みせず、歴史学研究の成果を公平に客観的に評価する姿勢を再確立することです。
以上、かながわ歴史教育を考える市民の会は、貴職に厳重に抗議し、生徒への「強制」が危惧される回収作業を直ちに中止すること、歴史の事実に照らして、少なくと「2012年度版」の水準に早急に戻すことを、要請します。

            かながわ歴史教育を考える市民の会(磯子区森3-3-17-217)
                 共同代表 高嶋伸欣 宇野峰雪 江原由美子







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